I am a worrier

昨日、何度か立て続けに着信。 
通知不可能って表示されるだけ。 
普段、通知不可能は拒否にしてるから、解除した。 
もしまたかかってきたら、出てやろうと。 

少し後、携帯が鳴る。出る。 
数秒、本当に数秒の間をおいて " はい " とだけ。 
そして、またほんの数秒を置いて、少し小さな声で、ノイズが乗った声で、誰かがわたしの本名を呼んだ。 
下の名前だけ。 

混乱した。ひどく混乱して、戸惑った。
ひとり、脳内を過ぎったけれど、分からなかった。 
分かった。でも、確信出来なかった。 
なにを言えば良いのか分からなかった。 
本当にわからなかった。でも、本当は分かってた。 
この脳みそは、ちゃんとわたしに気付かせてくれた。 
そして、やっと言えたのは、絞り出せたのは 

" どうして " 

その人は、ほんの少しだけ、そっと静かに、困ったように笑った。 
彼だった。 
わたしの大好きな、大好きな彼だった。 

一昨日かその前、わたしは普段彼と連絡をとっていたSNSのアカウントを消した。 
彼がくれた素敵な言葉と、いくつかのボイスメッセージのバックアップをとって。 
それは、本当に勇気が要った。 
二度と彼と話さない。話せない。 
でも、これで、わたしはこれ以上彼に迷惑をかけずに済む。 
そんな風に思って。 

でも、それはうそだ。
いや、本当なんだけれど、それよりも、ただ怖かった。 
いつか、彼がわたしに呆れて、わたしを置いていなくなってしまうのが怖かった。 
既に疎ましく思っているだろうと思った。 
だから、捨てられる前に捨てるのだ。 

そう思った。決めた。
だから、消した。 

初めて、リアルタイムで聞く彼の声。
わたしは" どうして "しか言えず 
彼はただ "心配した" と言った。 

ーーーーー 

存在の証明なんて分からない。 
価値も意義も分からない。 
でも、きみはわたしを覚えていた。 
捨てなかった。 

ね、わたし 
ちゃんとここにいるんだね。