頭の中引っ掻き回してやっと見つけた言葉を

いつだったか、仕事終わりの夜、会社の外の喫煙所でタバコを吸ってたら、仕事を終えて出てきた彼が、黙ってわたしの横に腰掛けた。

ベンチに並んで座って、彼は荷物を置いて言う。

 

あー、疲れた。

 

って。

のんびり何かを話して、時折黙って、お月さまを見てた。

心地よかった。

話すことを強要するような雰囲気がないところが好きだった。

彼は、わたしがタバコを吸い終えて、席を立つのを待ってたのだと、後の言葉で知った。

 

" 送ってってやるよ。"

 

早く帰りたいでしょうに。

それじゃ可哀想だ。

そう言うけれど、彼は何も言わず、いつも通り助手席を片付けて、運転席に座わった。

 

ーーーーー

 

彼は時折愚痴を言う。

今日の愚痴は、彼が担当している別部署のことだった。

 

" あの人たち本当にうるさい。

もっと落ち着いてやればいいのに。"

 

そうこぼした。

彼の愚痴を聞くのが好きだ。

きっと他の人にも聞いてもらっているのだろうけど、なんとなく、彼の心の中を覗けたような気がして、妙な優越感というか、変な気持ちになる。

勝手に、わたしだけが彼の気持ちに触れることが出来ると都合の良い、意味不明な妄想を繰り広げてる。

 

わたしも彼も、6連勤だ。