鼓動

わたしはただ、泣くのが下手くそだ。
笑うふりはとっても上手なのに、愉快な奴のふりをするのは上手なのに。
おかしいな。なんでかな。

笑ってれば、みんなそばにいてくれる。
悲しみや絶望にくれていたら、誰もいてくれない。
だから、自分の真っ黒いものはどこかへ押しやって、にこにこする。
たくさん笑って、出来るだけいい子のふりをする。

でも、時々だめになる。
疲れてしまう。
真っ黒いものに抱かれていたくなる。
その方が楽で、落ち着く。
真っ黒いそれは、わたしの魂だ。

自分の笑った顔が大嫌い。
白々しくて、滑稽に思えて。

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わたしにとっての絶望は、両親にさえ愛されなかった事実だ。
今どれだけ可愛がってもらったって、真っ黒いそいつの真ん中にあるものは、消えちゃくれない。

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早く誰かわたしを連れて行ってくれたらいいのに。
絶望も幸福もないところ。

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神様だけは、わたしを許してくれるの?